トラさんの時代とファッション
「ふうてんのトラさん」の時代といえば60年代後半から70年代になる。ファッション関係の商品が右肩上がりに売れ始めた頃で、「衣服製造業界」と呼ばれていたのが、アパレル業界と呼ばれるようになった。
映画の中でトラさんが「おいヒロシ、どうしてェ!ぱりっとしてんじゃねェか。そりゃあツルシかい?それともアツラエかい?」と言っていた。「つるし」というのは既製服、「あつらえ」は注文服のことである。「つるし」の語源は、売場でハンガーに吊り下げられたものからきている。
当時は注文服に比べて、既製服は粗悪品とされていた。衣料品に占める既製服の割合は少なかったのだ。メンズの背広はオーダーメードの仕立てがメインで、レディースと子供服は生地を買って家のミシンで縫っていた。雑誌の付録に型紙がついていた時代である。
しかし中にはミシンを使えない主婦もいた。かといってオーダーの注文服は高価過ぎる。そこでできたシステムがイージーオーダーである。仮縫いの工程を省いた既製服と注文服の中間のもので、簡易注文服とも呼ばれた。
そうしたプロセスを経て、ホームメイドの時代は終わり、現在のように既製服全盛の時代が来たのである。
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