ジーンズの値段と価値
今は誰でもジーンズをはいているが、70年頃はマイナーブームした程度で、ほとんど見かけなかった。中学や高校のクラスで、男の子が一人か二人だけ着用していた。ジーンズをはいている女の子はゼロに近かった。
ジーンズそのものが高価だった。当時はリーヴァイス、リー、ラングラー、エドウィンの4大ブランドのジーンズしか売っていなかった。1本が4千円前後で、今の貨幣価値に直せば、1万円ちょっとくらいになる。何よりも日本の経済が発展途上中だったので、そんな贅沢品には手が出なかった。若い人には信じられないだろうが、1ドルが360円の時代だったのだ。
ところが最近では、スーパーへ行けば2千円でもジーンズが買えるようになった。もちろん量販店向けの安いジーンズである。2千円のジーンズでも、二年程度は長持ちしてくれる。3千円も出せば、かなりしっかりとしたジーンズが買える。ユニクロで4千円以上出せば、デザイン性もあって生地も丈夫だ。
他人のはいているジーンズほど値段の判別が難しいものはない。特に女性の場合は、例え3千円のジーンズであっても、スタイルが良くてうまく着こなしていれば高く見える。まさにコーディネートのうまさがジーンズの価値を決めるといって過言じゃない。最近は七十代の年寄りもジーンズをはいている。中には高そうなジーンズをはいているジイちゃんも見かける。しかし一つもカッコいいとは思わない。
1本100万円のヴィンテージ・ジーンズを買う人間もいる。そうなってくると、貴金属を買うときの心理と似てくる。ようするにマニアになってしまうのだ。高けりゃ高い程、彼らにとっては値打ちがあるのだ。おそらく、100万円のジーンズをはく気にはならないだろう。部屋の壁にでも吊るして、それを眺めながら満足しているんじゃないだろうか。
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